相続手続きのほか生前の財産承継、遺言書作成など

相続・遺言書作成等

相続とは、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産や預貯金などを引き継ぐことです。

現在の民法では、配偶者や子ども、兄弟姉妹などの家族が被相続人の財産を引き継ぐことができますが、生前に遺言書を作成することにより家族以外に財産を引き継がせることも可能です。
被相続人が所有していた不動産、預貯金などの財産は「相続財産」や「遺産」と呼ばれます。

また、相続はプラスの財産だけではなく被相続人の借金などの負債と合わせて引き継ぐことになるため、場合によっては相続放棄をして、相続しないことを選択することもできます。

遺産相続に関する業務は債務整理に関する業務成年後見・家族信託などに関する業務、不動産登記などと並んで、司法書士の重要な業務の一つです。
特に、通称31条業務と呼ばれる、遺産承継業務、相続財産管理、生前財産管理、成年後見などに関する業務については、司法書士が専門的に行う重要な業務となっています。

亡くなった方の相続手続きをまとめて行います。

預貯金などの遺産承継手続き

預貯金口座の名義人が死亡すると、口座は凍結され原則として相続手続きをしなければその預貯金を引き出すことはできません。※

相続手続きに必要な戸籍謄抄本等の書類を収集し、各金融機関所定の様式の依頼書に相続人全員の実印を押印し、印鑑証明書を提出する必要があります。
また、預貯金口座の相続手続きは、銀行窓口が開いている時間に行く必要がある場合がほとんどですので、平日に時間を作るのも大変です。

司法書士は、忙しくて銀行へ手続きに行く時間がなかなか取れない方や、遠方で手続きが困難な方等のお手伝いもしてくれます。
相続のお手続きで悩んでいる方は司法書士に相談してみるといいでしょう。

※ 「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」によって、遺産分割前であっても葬儀などの費用にあてる費用を、被相続人の銀行口座から一定額まで引き出すことができます。
ただし、被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書などを用意したうえで銀行での手続きが必要で、すぐに引き出せるわけではありません。

なお、この制度は「仮払い制度」と呼ばれることもあります。

参考:三菱東京UFJ銀行 口座名義人が死亡した際の銀行口座の手続きについて

相続登記

一般的に相続登記と呼ばれている手続きは、土地や建物といった不動産の所有者(被相続人)が亡くなった場合に、その不動産の名義を亡くなった方から遺産を相続する人(相続人)へ変更する手続のことです。

現時点では相続登記は義務ではありませんが、相続登記をしないことでその不動産を売却することが出来なかったり、担保に入れて借入れすることが出来なかったりします。
また、相続登記をせずに、更に相続人が亡くなった場合に相続人が増えることにより、相続手続きが煩雑化してしまいます。

依頼人の希望によっては必要な書類の収集から、相続人の調査、遺産分割協議書の作成まで、相続登記に関することはまとめて司法書士に依頼することも可能です。

相続登記が義務化されます

老朽化した空き家が放置されていても所有者がわからないために対策が出来ないなどの「所有者不明土地」に関する問題が日本各地で起きています。

この問題に対応するために2024年度から相続登記などが義務化されます。

参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

相続財産の調査

相続の対象となる被相続人の財産には、土地や建物、借地権といった不動産や現金や預貯金、株券、自動車、骨董品、ゴルフ会員権などがありますが、借金やローンの残り、未払金などのマイナスの財産も対象となります。

このような被相続人のさまざまな相続対象となる相続財産についての調査も司法書士の業務の一つです。

相続人の調査

相続財産を引き継ぐには、法律上相続財産を受け取る権利がある人(法定相続人)を特定する必要があります。

法定相続人の特定には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となりますが、必要に応じて現在戸籍や除籍謄本、原戸籍謄本などにより法定相続人を特定します。

預貯金などの相続手続き

銀行などの金融機関や証券会社、保険会社などにある預貯金などの資産の相続には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本または法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」などが必要になります。

通常、口座を持つ人の死亡を銀行が知ると預金口座は銀行によって凍結され、入出金ができない状態になります。

凍結された状態の口座にある預貯金は、それぞれの銀行や金融機関が指定する書類(戸籍謄本や遺産分割協議書、遺言書など)を提出して相続する権利が誰にどの程度あるのかを証明することで、払い戻しを受けたりすることが可能になります。

相続財産管理や処分などは法律上定められた司法書士の重要な業務(通称31条業務)ですので、これらの煩雑な手続きを含めて、銀行などの金融機関や証券会社、保険会社などにある資産の相続手続き一式を司法書士に依頼することが可能です。

相続放棄

相続の対象は被相続人の土地や建物などの不動産や現金や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借金やローンの残り、未払金などのマイナスの財産も対象となります。
相続については基本的にプラスの財産とマイナスの財産を一緒に相続することになります。

また、相続人同士の人間関係などによりそもそも相続に関わりたくないといったこともあるかと思います。

相続すると金銭的にマイナスになる場合や、そのほかの何らかの理由で相続したくない場合には、相続放棄の手続きをすることで一切の相続をしないで済みます。

このような相続放棄の手続きを司法書士に任せることが可能です。

なお、相続放棄手続きは相続が開始したことを相続人が知ってから3ヵ月以内、という期限があります。
(裁判所へ申立てをすることで期限を伸ばすことができます。)

遺言書作成や生前贈与などに関する手続き

遺言書作成

生前に遺言書を作成しておくとメリットについて。

遺言が無い場合の法定相続人による遺産分割協議は、相続人全員が相続財産に関して協議を行い、協議が整えば遺産分割が行われます。但し、一人でも同意しない相続人がいる場合は裁判にまで発展してしまう可能性もあります。

そこで、遺言書を作成しておくことで争いを未然に防ぎ、自分の死後、自分が築いた財産を相続人にどのように分けるかを自分の好きなように決めて譲り渡すことができます。(※但し遺留分に注意)

例えば、

  • 「この子には他の相続人よりも多めに相続させてあげたい」
  • 「配偶者に全財産を相続させたい」
  • 「生前にお世話になった方に少しでも財産をもらってほしい」

などです。
また、遺言書の内容を実現するために、司法書士が遺言執行者となることも可能です。

相続・遺産承継業務

司法書士は、司法書士法施行規則第31条1項1号に基づき、他人の財産管理を行うことができます。
この法律に基づく司法書士の業務は遺産承継業務、相続財産管理、生前財産管理、成年後見などに関する業務です。

このため、遺産承継業務、相続財産管理、生前財産管理、成年後見などに関する業務を31条業務と呼ぶことがあります。

あらゆる相続手続きは司法書士へ。

相続手続きに必要な戸籍の収集や遺産調査、不動産の名義変更、預貯金や株式の相続手続きなどあらゆる相続手続きは司法書士がワンストップで行うことが可能です。

  • 普段、忙しくて手続きをする時間がない・・・
  • 何から始めて良いのかわからない・・・
  • 戸籍を集めて相続人を特定するのがよくわからない・・・

相続・遺産承継業務とは、相続人から依頼を受け、亡くなった方(被相続人)の財産(不動産や預貯金、株式など)を相続人へ承継させる手続きを行う業務のことです。

不動産登記や預貯金の遺産の相続による名義変更などを行います。
相続手続きは、亡くなった方の遺産の状態にもよりますが、多種多様な手続きがあります。
法務局への名義変更の登記手続き、金融機関への預貯金の手続きなど、自分で行うには、大変な手続きを司法書士がサポートしてくれます。
司法書士は司法書士法施行規則第31条などで法令上の根拠がありますので、業務として相続手続きを行っています。

遺産承継業務の主な内容

  • 相続人確定のための調査、戸籍収集など
  • 預貯金、株式、有価証券の名義変更、解約、残高証明書などの発行請求
  • 不動産登記手続き、商業登記手続き
  • 遺産分割協議の合意形成に向けた段取りや遺産分割協議書の作成など
  • 相続税申告が必要な場合は、税理士を紹介致します。
  • 年金の手続きにて社会保険労務士が必要な場合は、紹介致します。

上記の業務を進めるために必要となる調査・助言・調整・他の専門家の紹介など

相続・遺産承継業務の流れ

  1. 依頼者からのご相談
    依頼者から、亡くなった方に関することを確認します。
    親族関係、財産や負債に関することを伺い今後の手続きの方針を決定します。
  2. 調査業務
    調査業務では、相続・遺産承継業務に必要な事前調査を行い、相続人の調査、遺産や、必要に応じて負債の調査などを行います。
    依頼者から亡くなった方の預金調査や取引明細書などの引き渡しを受け、共同相続人と遺産承継業務に関する契約を締結します。
    役所では、戸籍収集、金融機関では、現存証明、残高証明、不動産は、法務局で登記簿謄本、名寄帳・評価証明書、その他、必要に応じて負債の調査、公正証書遺言の検索などの調査を行い、手続きをすべき財産を把握します。
  3. 確定業務
    誰が相続人かということや相続財産の確定を行います。
  4. 合意形成
    相続人が確定し相続財産が判明したところで、遺産について相続人間で遺産分割を行います。
    司法書士は相続人間において決定した内容に応じて遺産分割協議書を作成します。
    ただし、相続人間に紛争がある場合は、司法書士は弁護士法第72条の法律事件の代理、仲裁、和解をすることができないので、弁護士の業務範囲となります。
    (多くの場合希望によって弁護士を紹介してもらえます。)
  5. 承継業務
    司法書士は、相続人間で遺産分割が合意に達した後、その内容を実現することになります。
    財産の配分、不動産の名義変更、預貯金の名義変更などを行います。
    司法書士から業務終了の報告、成果物の引き渡しを行います。
    相続税の申告手続きは税理士が行います。

※ 業務の流れは一例です。司法書士事務所によって手順は変わります。

ページTOP