法律の専門家として借金問題を解決。
債務整理など
司法書士は銀行などの金融機関のほか、サラ金や街金などの貸金業者に対する債務(いわゆる借金)が返せないなどの、「借金問題」について法律の専門家として解決します。
借金問題の解決には、債権者と個別に交渉して残っている債務(借金)について、月々の支払額や支払回数を債務者が支払可能な範囲に収まるように契約を結ぶ任意整理や、債務が多額で本人の収入や財産では全てを返済することができない場合の自己破産などがあります。
いわゆる借金問題解決のお手伝いは、遺産相続に関する業務や成年後見・家族信託などに関する業務、不動産登記などと並んで、司法書士の重要な業務の一つです。
多重債務者の経済的更生
多くの司法書士事務所では、多重債務者の経済的更生をお手伝いしてきた豊富な経験があり、適切な法律知識を使い、それぞれのケースに適した方法で借金問題解決へ手助けしてくれます。
任意整理
任意整理とは、債権者との交渉によって債務(借金)の毎月の返済額や返済回数を債務者が可能な範囲で返済する契約をすることで返済の負担を軽減する手続きです。
任意整理は特定調停や自己破産とは異なり裁判所を介さずに返済方法を決めることになります。
任意整理は出来る範囲で返済するものですので、無理なく返済するための一定の収入があることや、債務の総額が大き過ぎないなどが前提となります。
また、任意整理を進めるには債権者の同意が必要となります。
なお、認定司法書士は、1社あたりの債務額が140万円以下であれば本人の代理人として債権者と和解交渉をすることができます。
任意整理を司法書士に任せることで、
- 司法書士が債権者と直接交渉を行います
- 専門知識に基づく債務者に有利な交渉ができる
- 債権者者は債務者への直接催促や取立てができなくなります
- 家族などに知られずに手続きができます
- これまでの返済内容によって過払い金を取り戻せることがある
などのメリットがあります。
債務の任意整理を司法書士に任せることで、債権者(金融機関や貸金業者)との交渉窓口は司法書士になります。また、任意整理の委任契約を結ぶと交渉対象となる債権者に対して受任通知を送付します。
この受任通知により債権者は債務者に対して直接の取り立てや督促が出来なくなります。
また、裁判所を通さない任意の手続きとなりますので、家族や周囲の人に借金の整理をしていることを知られずに済みます。
貸金業者によってはいわゆる「グレーゾーン金利」を適用している場合があり、これまでの返済内容によっては「過払い金」を取り戻せることもあります。
個人再生
個人再生手続とは、債務(借金)の返済が出来なくなった人が返済総額を少なくして原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、その計画を裁判所が認めれば計画通りに返済します。
計画通りに返済が出来れば、残りの債務(借金)が免除される方法です。とりわけ、住宅ローンを抱えたまま多重債務に陥っている債務者が住宅を失うことなく経済的更生を図れるところにこの手続きの特徴があります。
債務(借金)の総額を減らすことができる点で任意整理と似た面がありますが、任意整理と個人再生の大きな違いは個人再生では裁判所が関与するところにあります。
個人再生手続は、「債務(借金)の返済が困難な個人である程度安定した収入がある人」を対象とした制度となっています。このため、個人再生手続を利用するには、破産のおそれがあり、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが必要です。
個人再生には「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2種類があり、債務者世帯の家計収入と家計支出等生活全般の状況、及び各債権者の議決権割合等によってどちらを選択すべきか司法書士が専門的判断を下します。
小規模個人再生手続
原則として、個人事業主や小規模事業者などを対象とした手続で、住宅ローンを除いた債務(借金)などの総額が5,000万円以下であることと、将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあることが条件となります(実務的には、給与所得者もこちらの手続きを選択する割合が高くなります。)。
給与所得者等再生手続
給与所得者(サラリーマン)を対象とした手続で、小規模個人再生手続と同様に、住宅ローンを除いた債務(借金)などの総額が5,000万円以下であることと、将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあることに加え、収入が給料などでその額の変動の幅が小さいと見込まれることが条件となります。
自己破産
自己破産は債務(借金)が多額で本人の収入や財産では返済することができない場合に裁判所に破産を申し立て、申し立てが認められれば生活必需品などの一定の財産を除いたすべての財産を返済に充て、それでも残った債務(借金)の支払い義務が免除(免責)される方法です。
自己破産は基本的に、裁判所から債務者が支払不能の状態にあることを宣言される「破産手続開始決定」と、債務(借金)に関する法律上の支払義務が免除(免責)される「免責許可決定」がセットとなります。 ただし、債務(借金)が浪費やギャンブルでのものであったり、クレジットで購入した商品をすぐ換金して借金を増やした場合などには、免責が認められません。
また、裁判所から破産手続開始決定がなされると官報に公告(掲載)され、各種の制限が発生します。
特定調停
特定調停とは、簡易裁判所を通じて簡易裁判所から選任された調停委員と債権者との間で毎月の返済額や返済回数などの返済方法を決める方法です。
十分な法律知識がない債務者でも、裁判所で用意されている申立書などのひな型を使えば、自分で申立てを行うことができます。
債務者自身が簡易裁判所に申し立てる場合は費用が安く済みますが、任意整理と同様に債務者側の同意が必要となります。
また、調停が成立した際に作成される調停調書には裁判の判決と同じ効力があるため、返済が滞った場合などには「給料が差し押さえられる」といったことも起こります。
(本手続きを選択することは実務上まれです。)
過払い金返還請求
司法書士は、借金(債務)整理のお手伝いだけではなく、「過払い金返還請求」のお手伝いもしてくれます。
過払い金返還請求とは
貸金業者に「払いすぎた利息」の返還を請求することです。
2010年6月18日以前には借入金に対して適用される金利の上限に、「利息制限法」と「出資法」という別々の法律に基づく2つの基準がありました。
この2つの基準に基づく2種類の金利上限の間の金利はグレーゾーン金利と呼ばれ、実は本来払う必要のない金利で、貸金業者からの借り入れやカードのキャッシングを利用した際などに「グレーゾーン金利」を支払っていた場合、本来払うべき金利との差額が「過払い金」となります。
この過払い金を取り戻すために貸金業者に返還請求することを「過払い金返還請求」と言います。
借金問題のお悩み方には、これまでにいわゆるサラ金から借入をしたり、キャッシングを利用したりしたことのある方が多いと思います。
司法書士が債務整理のお手伝いをする過程で、過払い金の存在が判明することも多く、過払い金によって他の債務を完済することが出来たり、場合によっては返還された過払い金が手元に残ることもあります。
完済している借金にも
過払い金返還請求は既に返し終わった借金にも適用されます。
過払い金返還請求権が消滅時効にかかっていない限り、原則として取り戻し可能ですので、今現在借り入れが無い方でも、過去に一度でも消費者金融やクレジット会社から借り入れ経験がある方は、過払い金返還請求権が時効消滅する前にお早めに司法書士に相談するといいでしょう。
供託
供託は、何らかの理由で「受け取ってもらえないお金」を供託所(法務局)に預けることで、法律上「支払った」「返済した」事にできる制度です。
供託には、弁済供託、担保(保証)供託、執行供託、保管供託などがあります。
例えば、債務(借金)の返済金の受け取りを拒否された場合などに遅延損害金が発生したり利息が増えることを避けるために、手続きにのっとって返済金を供託所(法務局)に預ける弁済供託をすることで法律上「返済した」事にできます。
また、支払日に家賃を支払おうとしたにもかかわらず、家賃の値上げや建物の明渡しを求めて家賃の受け取りを拒否された場合に、支払い予定の家賃を供託所(法務局)に預ける弁済供託をすることで法律上「支払った」事にできます。
こうすることで家賃の不払いを理由にした立ち退き要求を拒否することができます。
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