成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

成年後見・家族信託など

成年後見に関するさまざまな手続きや成年後見人、保佐人、補助人などの就任についても司法書士の業務です。

成年後見制度とは

法定後見制度と任意後見制度

判断能力の不十分な方々の権利や財産を守り意思決定のお手伝い

「成年後見制度」とは、何らかの理由で判断能力が不十分な方の権利や財産を守ったり本人の意思決定のお手伝いをする仕組みで、将来の判断能力の衰えに備えて利用することもできる制度です。

成年後見制度は法律面や生活面で手助けが必要な人(被後見人)を保護したり支援したりする制度で、大きく分けると判断能力が衰えてから利用する法定後見制度と、将来に備えて利用する任意後見制度があります。

本人の意思決定を支援し、自己決定を尊重のうえ、本人の最善の利益を図ります

後見制度を支える基本理念

  1. 自己決定権の尊重
    本人の意思決定を尊重して本人の意思決定を尊重するという考え方
  2. 現有能力の活用
    本人が現在できる力を活用するという考え方
  3. ノーマライゼーション
    高齢者や障害者でも家庭や地域で助け合いながら暮らすことのできる社会を作ろうという考え方
  4. 本人の利益保護
    本人が不利益を被ることがないように支援しようという考え方

成年後見・家族信託に関する業務は債務整理に関する業務遺産相続に関する業務、不動産登記などと並んで、司法書士の重要な業務の一つです。
特に、通称31条業務と呼ばれる、遺産承継業務、相続財産管理、生前財産管理、成年後見などに関する業務については、司法書士が専門的に行う重要な業務となっています。

法定後見制度

法定後見制度の利用例

すでに判断能力が不十分となっている被後見人の代わりに、支援者が契約などの法律行為を行い、本人を支援します。

  • 物忘れが進んで預貯金の管理が難しくなった母のために。
  • 道に迷うことが増え施設への入所を考える父のために。
  • 自分たちが亡くなった後の障害のある子供たちのために。
  • 父親の入院費や施設利用料等の工面のために父名義の株や不動産の売却のために。
  • 使わない健康器具など不要な買い物が増えた一人暮らしの叔母のために。

任意後見制度

任意後見制度は将来判断能力が不十分になった時のために備えておく制度です。

任意後見制度の利用例

本人が元気で判断能力に問題が無く、今は自分で物事を決められる方が将来の安心のために備える事が出来きます。

  • 一人暮らしで身寄りがなく、将来入院した時の手続きや支払いが心配。
  • 将来認知症になったら、銀行や役所の手続き、施設の入所手続きや支払いのことが心配。
    不動産の管理や売却する場合にはどうすればいいのか。

成年後見人の通常業務

被後見人の財産の適切な保護と身上保護に関する業務を行い、これを裁判所の定める期間内に報告します。

財産保護と身上保護の具体的な業務例

  • 預貯金の管理
    振込依頼・払い戻し、口座の変更、口座の開設、解約、など
  • 定期的な収入の受領
    家賃、地代、年金、障害手当金、など
  • 定期的な支出を要する費用の支払い
    家賃、地代、公共料金、保険料、税金、など
  • 証書等の保管
    登記済権利証、実印、銀行印、印鑑登録カード、個人番号カード、など
  • 各種契約・手続き、及びそれらの支払い
    介護契約、福祉サービス契約、入退院手続き、施設入所契約、及びそれらに対する支払、など
  • 各種社会保険関連の申請
    介護保険、要介護認定、障害支援区分認定、健康保険などの申請
  • 行政官庁手続きに関する一切の業務
    年金、登記申請、税金の申告、など
  • 保険契約等の手続き
    保険契約の締結・変更・解除、保険金の請求
  • 不動産に関する手続きなど
    不動産の売却、賃貸契約、住宅の増改築・修繕、など
  • 相続関係手続
    相続の承認、相続放棄、遺産分割、など

※ 上記各業務は一例です。

以下の各行為は成年後見人の通常業務に含まれません。(参考例)

  • 医療行為の同意
    (一緒に病状説明を聞くなどして、本人の意思決定を支援する形での関与となります)
  • 本人に代わっての、婚姻、離婚、認知、養子縁組、離縁、遺言
    (身分行為)
  • 居住場所の強要
    (居所の指定)
  • 直接の介護や看護
  • 身元保証、連帯保証
  • ほか

家族信託とは

「家族信託」とは、一言でいうと「財産管理の一手法」です。

資産を持つ方が、特定の目的(例えば「自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付」等)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。いわば、「家族の家族による家族のための信託(財産管理)」と言えます。

認知症など、判断能力を欠く状態になってから不動産の処分ができないなどと困ることもありません。
また、家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。誰にでも気軽に利用できます。

家族信託のメリット

後見制度に代わる柔軟な財産管理を実現できます。

成年後見制度(法定後見・任意後見)は、負担と制約が多い!

成年後見制度は後見人に毎年の家裁への報告義務などの負担があります。
また、資産の積極的活用や生前贈与、相続税対策ができない等、安易に財産の処分ができない面があります。

これに対して家族信託であれば、元気なうちから資産の管理・処分を託すことで、元気なうちは、本人の指示に基づく財産管理を、本人が判断能力を喪失した後は、本人の意向に沿った財産管理を実行できます。

更に、積極的な資産運用(不動産の売却・買換・アパート建設等)も、受託者たる家族の責任と判断で可能となります。

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